イチョウの実は銀杏(ぎんなん、ぎんきょう)といい、茶碗蒸しなどの具に使われたり、酒の肴としても人気がある。木自体のことも「銀杏」と書く(この場合は「イチョウ」と読み、「ぎんなん」は実を指す)。西洋語での表記 "Ginkgo" は、西洋人が「ぎんきょう」を聞こえたままに書き写したもの (Ginkyo) を誤記したものである(ただし、ヨーロッパの一部ではkgoと書いてkyoと読む地域があることから、誤りではないという説もある)。ゲーテの西東詩集にも "Ginkgo" という言葉が登場している。なお、銀杏をギンナンと読むのは、国語学上の連声(レンジョウ)という現象である(ギン+アン=ギンナン)。

ギンナン(イチョウ)にも栽培品種があり、大粒晩生の藤九郎、大粒中生の久寿(久治)、大粒早生の喜平、中粒早生の金兵衛、中粒中生の栄神などが主なものとして挙げられる。

なお、ギンナンは日本全土で生産されているが、特に愛知県中島郡祖父江町(現稲沢市)は生産量日本一である。ギンナン採取を目的としたイチョウの栽培もこの地に始まるとされるが、それは1900年前後のことと伝えられる。上記の栽培品種も、多くはこの町の木から接ぎ木で広まったものである。

熟すと肉質化した外皮が異臭を放つ。異臭の主成分は酪酸とヘプタン酸である。異臭によりニホンザル、ネズミ、タヌキなどの動物は食用を忌避する。一方で、中にはアライグマの様に平気で食べるものもいる。


ドイツでは、フラボノイド22~27%、テルペノイド5~7%(ビロバライド2.6~3.2%、ギンコライドA,B,C2.8~3.4%)、ギンコール酸5ppm以下の規格を満たすイチョウ葉エキスが医薬品として認証されており[1]、日本においても(財)日本健康・栄養食品協会が同様の基準を設けている。[2]しかし、同協会の認証を受けていない商品についてはそういった基準はないので、注意が必要である。なお、イチョウ葉は日本からドイツやフランスへ輸出されている。[3]
日本では、イチョウは医薬品として認可されておらず、食品で有るため効能をうたうことは出来ない。しかし、消費者に対し過大な期待を抱かせたり、薬事法で問題となるような広告も散見されるのが実態である。[1]
生の葉は摂取しないほうがよい。また、雑誌などでイチョウ葉茶の作り方が掲載されることがあるが、これに対して国立健康・栄養研究所は「イチョウ葉を集めてきて、自分でお茶を作るという内容であり、調製したお茶にはかなり多量のギンコール酸が含まれると予想され、そのようなことは勧められません。」としている[2]。
ギンナンと葉で薬効成分が異なる。 葉の薬理効果の研究は国内大学[4] をはじめ海外でも行われている。
国民生活センターのレポートによると、アレルギー物質であるギンコール酸、有効物質であるテルペノイド、フラボノイドの含有量には製法と原料由来の大きな差がみられる。また、「お茶として長時間煮詰めると、ドイツの医薬品規格以上のギンコール酸を摂取してしまう場合が有る」とし、異常などが表れた場合は、すぐに利用を中止し医師へ相談するよう呼び掛けている。[1]

イチョウの実(正式には種子)である銀杏はギンコール酸などを含み、漆などのようにかぶれなどの皮膚炎を引き起こすので注意が必要である。また、食用とする種の中身にはビタミンB6の類縁体4-O-メチルピリドキシン(4-O-methylpyridoxine、MPN)が含まれているが、これはビタミンB6に拮抗してビタミンB6欠乏となりGABAの生合成を阻害し、まれに痙攣などを引き起こす。大人の場合かなりの数を摂取しなければ問題は無いが、1日5~6粒程度でも中毒になることがある。特に報告数の70%程度が小児(5歳未満)であり、5歳未満の場合は注意が必要である。太平洋戦争前後に中毒報告が多く、大量に摂取したために死に至った例もある、これは食糧難から来るビタミンB6欠乏状態と関係性があると思われる。

その一方で喘息等の症状に対する鎮咳去痰作用など薬草としての効力もあり、後述の難破船に遺された銀杏も薬の原料として送られたものであると言われている。[要出典]